平成24年度 事業報告

 

1.はじめに

平成24年度は管理職事務長制も2年目となり、39名の管理職事務長のもと、責任と権限を伴った共同実施の組織的機能が徐々に定着してきました。

また、平成24年度の試験より、「学校事務」の採用枠がなくなり任用一本化が実施されることになりました。これにより、県立高校や知事部局との人事異動も活発になることが予想されます。行政のノウハウを学校事務に取りこむ好機となる反面、教育的視点を重視してきた私たちが築いてきた学校事務の質を維持・向上していく課題が浮き彫りになってきました。

 このような中、佐事研は、学校事務の目指すべきあり方を全県下で共通理解し、学校事務職員一人一人が意識改革と資質向上を進めること、共同実施の効果を上げ学校運営へ積極的に参加することなどを念頭に、さまざまな研究・研修活動や情報提供を行いました。

 

2.佐事研ホームページについて

会員の皆さんに好評な佐事研のホームページは、掲載情報量が肥大化し閲覧しづらくなってきております。情報量を整理してさらに見やすく活用しやすいものにするため、サーバーを移転(独自ドメインを取得)し、リニューアルを進めてきました。現在は、旧ホームページと新ホームページを並行運用しています。日頃の業務に必要なデータが集約された会員専用ページはもとより、県内の共同実施に関する情報や、全国の学校事務研究大会の情報、「法令データ検索」などのサイドメニューも充実しています。また、佐賀県プロモーションDVDへのリンクなど「佐賀県」の紹介にも一役かっています。「sajiken.com」でURL入力すると、「佐賀県公立小中学校事務研究会公式Webサイト」としてご覧いただけます。さらにパワーアップして平成25年7月1日リニューアルオープンの予定です。

 

3.第30回大会について

 612日にアバンセ大ホールにて第30回大会を開催しました。午前中に、佐賀県教育委員会、中島秀明副教育長の講演、午後には、日本大学文理学部の末富 芳准教授の講演、及び、歴代の佐事研会長をむかえたシンポジウムを行いました。

 中島氏の講演では、「これからの学校事務職員に期待するもの」との演題で、これまでの学校事務と共同実施の改革の動き、そして、管理職事務長制導入の経緯やこれからの学校事務職員に期待される役割とスキルについてお話いただきました。

 末冨氏の講演、「教育費の公私負担と学校事務職員」では、学校予算の公私負担の在り方について、多くのデータをもとにご教示くださいました。また、これからの学校事務職員に求められる学校マネジメントについても、どの年代にも分かり易くお話いただきました。

 シンポジウムでは、佐事研の初代会長から第5代会長の5名をお迎えし、「これまでの学校事務、これからの学校事務〜佐事研の15年を振り返って〜」とのテーマのもと、佐事研のあゆみや会長在職時の経験、思い出を通して学校事務についてお話いただきました。50代の会員には懐かしさがあり、若い世代には今の学校事務制度が出来上がった背景を学ぶよい機会となりました。これからの学校事務に暖かいエールをいただきました。

 

4.第31回大会について

 112日にアバンセ大ホールにて第31回大会を開催しました。 午前中は、研究部グランドデザイン研究班の約2年半にわたる研究結果を「佐賀県版学校事務のグランドデザインVer.1.0」として発表しました。午後には、文部科学省初等中等教育局参事官付学校運営支援企画係とタイアップして、コミュニティースクールについての講演、及び、全国的にも著名な講師陣を迎えてのシンポジウムが行われました。

 グランドデザイン研究班の研究発表では、「個」と「組織」の2つの面から個人のグランドデザインと共同実施のグランドデザインを示しました。めまぐるしく変化する環境の中でどうキャリアアップし、学校事務職員の役割と責任を果たしていくか、また、組織としての共同実施はどうあるべきかを提言してもらいました。

 文部科学省初等中等教育局 学校運営企画官 松浦晃幸氏の講演では、学校と地域との連携の必要性を踏まえながら、コミュニティースクールについて詳しくご説明いただきました。これに続くシンポジウムでは、コーディネーターに松浦氏、シンポジストに、日本大学文理学部 教授 佐藤晴雄氏、福岡県春日市教育委員会教育長 山本直俊氏、大分県玖珠町立玖珠中学校長 梶原敏明氏を迎え、佐事研の古川治会長も参加し、「地域とともにある学校づくり〜目指すべき学校運営のあり方〜」のテーマのもと、それぞれの立場から有意義なお話をいただきました。多くの事例を挙げ、どの年代にも分かり易く、また刺激になる内容で、多くの研鑚を積むことができました。

専門部活動報告

 

< 研 究 部 >

 

1 グランドデザイン研究班

 

 本研究班では、グランドデザイン発表に向け14回の研修会を開催し、月2回を上回るペースで検討を重ねてきました。ここ数年の間に、事務長・統括事務長制の導入や行政職との採用一本化などが次々と制度化され、私たちを取巻く環境は大きく変動し、数年先のことも予測できない状況になっています。

このような中、私たち学校事務職員がどのような役割を果たすべきか、どの方向を目指すのか、学校事務はどうあるべきかについて、私たち一人ひとりが早急に確認し、これらのことを共有する必要があると考え取り組んできたところです。学校事務職員として、これからの将来に期待することや危惧することが大いにあります。

 しかし、学校事務職員の使命は変わりません。私たちの使命は、子どもたちの豊かな育ちと学校の円滑な運営を組織の一員として共に担っていくことです。子どもたちのため、学校のために私たちに何ができるのかを考え、実行していくことを忘れなければ、この急激な変革もきっと乗り越えていけると確信しています。

 これからの学校事務職員は、「共同実施」の中で育っていきます。しかし、共同実施は「個人」が各々の力量を高めていかなければ進化できません。「個人」がキャリアアップを図りながら、「共同実施」の組織力を十分に発揮できるよう取り組んでいくことが重要です。

 私たち学校事務職員がより一層資質の向上を図ることにより、質の高い学校事務を提供することができます。それは質の高い教育を保証することに繋がり、子どもたちの豊かな育ちと学校の円滑な運営を組織の一員として担っていくことができると考えます。「個人」と「共同実施」がこのグランドデザインを実践することにより、新しい学校事務が創造されることを期待します。

 

2 情報処理研究班

 

 平成24年度はグランドデザインの発表に向け、年度当初からグランドデザイン研究班研修会に毎回参加し、延べ10回以上にわたり検討を重ねながら発表の準備を進めてきました。パワーポイントにより100シート以上の資料を作成し、視覚的効果を格段に向上させることができ、グランドデザインの発表をより効果的にわかりやすく行うことができました。

 また、研修部が主催しているテーマ別研修会において、10月16日(火)に行われた「エクセル講座T」をメンバー全員で担当し、初歩的なエクセル関数について講義を行いました。

< 研 修 部 >

 

(1) 活動報告および活動概要

 

【 研修部研修会 】

6月 1日  第1回研修部研修会(アバンセ)

        ・平成23年度活動報告及び24年度活動計画

         (自己紹介・年間業務計画・予算・業務担当分け)

        ・テーマ別研修会役割分担およびアンケートについて

        ・30回研究大会について

         (当日の流れ・業務分担・西日本企画打合せ)

 

10月23日  第2回研修部研修会(アバンセ)

         ・30回研究大会反省

         ・テーマ別研修会(7/248/7)反省および報告・追跡調査

         ・31回研究大会運営について

          (当日の流れ・業務分担・西日本企画打合せ)

 

3月 8日  第3回研修部研修会(グランデはがくれ)

        ・今年度活動の反省

        ・新年度活動について

        ・研修部組織と班長選出について

        ・テーマ別研修について

  当日アンケート・追跡調査の結果を参考に新年度計画

 

【 テーマ別研修会 】

7月24日  「 ファシリテーション 」アバンセ(参加者20名)

         ビジョンマップ株式会社 代表取締役  近松 和博 氏

       

8月 7日  「 学校徴収金の事故 」メートプラザ(参加者54名)

         佐賀市教育委員会 学事課  森 清隆 氏

 

10月16日  「 エクセル講座T 」教育センター(参加者19名)

         佐事研研究部情報処理班  武富雄一郎班長 ほか2名

 

12月 4日  「 エクセル講座U 」教育センター(参加者18名)

         教育センター情報教育担当職員 様 

12月11日  「 エクセル講座V 」教育センター(参加者19名)

         教育センター情報教育担当職員 様 

 

2月15日  「 特別枠 」メートプラザ(参加者40名)

        佐事研会長インタビュー  古川 治 会長

        班別情報交換会

 

 平成24年度の主な活動は、2回の研究大会運営および6回のテーマ別研修会の企画・運営でした。

研究大会では、タイムテーブルどおりに進まないこともあり、とっさのスケジュール変更にも慌てず、全部員が臨機応変に対処できるように、さらに綿密な打ち合わせと共通理解の必要性を感じました。

テーマ別研修会は最終的に6講座を設定しました。特に「学校徴収金の事故」では、森清隆先生の具体的な事例を挙げてのお話は、学校徴収金に携っている、あるいはこれから取り組もうとしている参加者にとって非常に興味深く、また、あらためて身の引き締まるような内容でした。2月には「特別枠」として、若手事務職員対象の研修会を試行的に設定し、『会長に聞こう!学校事務発展の経過と裏話』というテーマで、少し違った切り口から学校事務発展についてのお話を古川会長にインタビュー形式で伺いました。「知らないことがたくさんあった。ぜひ他の先輩方のお話も伺いたい。」という声が、多くの参加者から寄せられました。

 例年参加希望が多く抽選により受講決定を行っていたエクセル研修は、研究部情報処理研究班の協力のおかげで3講座を設定することができ、希望者全員が最低1講座は受講することができました。内容は日々の業務で使える「すぐに役に立つ関数」を中心としたもので、エクセルの便利な使い方やコツを学んでいただきました。

 また、24年度はテーマ別研修会での研修内容がその後の業務においてどのように活用されているのかについての追跡調査を行いました。その結果はそれぞれの講座の講師の先生へも還元し、また、私たち研修部の課題が見える貴重な資料となっています。

 

(2) 今後の課題

 まずは、会員の資質向上に資するための研修を企画することが研修部に与えられた責務であることを部員一同で再認識し業務を進めたいと思います。

研修部の組織に2名の班長を置いたことで、効率的でよりきめ細かい業務遂行が可能になりました。今後は、さらに組織として班長が動きやすい体制作りを検討していきます。また、テーマ別研修会のアンケートは追跡調査(仮称)のみとし、結果を会員相互の情報交換にまで繋げていけるような方法を模索します。


< 調査広報部活動 >

1 「佐事研だより」の発行

テキスト ボックス: 平成24年度も各号ごとに編集担当を地区割りすることにより円滑に作業を進めることができました。共通テーマは「管理職事務長制導入による共同実施」で、各地区の事務長にそれぞれの思いを書いてもらいました。フリーテーマについては任意掲載にし、幅広いテーマに関する記事を掲載しました。また今年度は「新規採用職員特集」などの号外を発行するといった新たな取り組みを行いました。原稿の校正等の連絡調整は全てメールを活用して効率的に行うことができたと思います。

号数

発行日

共通テーマ

フリーテーマ

編集担当

72

H24.7.2

管理職事務長制導入による共同実施

鳥栖市東部学校運営室長

神埼市北部学校運営支援室長

みやき町立小中学校運営支援室長

神埼市南部学校運営支援室長

・ご当地検定

・ブルーライトの影響

鳥栖・基山

神埼

号外

H24.8.31

・新規採用職員紹介(12名)

藤津・鹿島

73

H24.10.1

管理職事務長制導入による共同実施

佐賀市大和学校運営支援室長
佐賀市川副学校運営支援室長
佐賀市成章学校運営支援室長
佐賀市城北学校運営支援室長

・学校集金事務2年目   

・意外と難しいレーザープリンターでの印刷
・最新文房具紹介

佐賀市

小城市

74

H24.12.3

・管理職事務長制導入による共同実施

唐津市中部第二学校共同事務室長
伊万里市東部地区学校運営支援室長

・税金の雑学

唐津地区

伊万里

西松浦

 

75

H25.2.25

・管理職事務長制導入による共同実施

太良町学校運営支援室長

武雄市第1学校運営支援室長

・施設及び遊具の安全点検について

武雄市

杵島

鹿島・藤津

 






























※平成25年2月より古川会長による若手事務職員向け「組織マネジメントだより」を発行中。